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壊されてしまった 機動6課と地上本部 だが、倒れてばかりではいられない 戦場は、空へ 集長の一言 無残に破壊された機動6課。 負傷の隊員たち。 あまりにも無残 これからどうなるのだろう? 映像は、こちら(消失の場合は、連絡の事 魔法少女リリカルなのはStrikerS ep 18 part 1 魔法少女リリカルなのはStrikerSサブタイトルへ戻る
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新たなる翼をえて、立ち上がる機動6課 そして、新たなる思いで立ち向かい空へ そこで待つものは? 集長の一言 機動6課も、新たなる翼と再起をかけていた頃 スカルエッテイ(ナンバーズ)も、準備を着々と進めていた 両者の戦いは、近いのかもしれない 映像は、こちら(消失の場合は、連絡の事 魔法少女リリカルなのはStrikerS ep 19 part 1 魔法少女リリカルなのはStrikerSサブタイトルへ戻る
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それは小さな願いでした。 微笑みを交わしあうこと…… そっと触れあうこと…… だけど、私たちを迎えたのは戦いの時。 奪われてしまった力…… 傷ついてしまった魔導の杖達。 まだはっきりつかめない、戦うべき相手と 自分たちにできること。 だけど、それでも私たちは…… 宇宙の騎士リリカルなのはBLADE…… 始まります 敵から予想外の攻撃を受け、倒れたなのははまだ眠っていた。 すでに検査は終わっている。後は目が覚めるのを待つだけだという。 エイミィはリンディと二人で本局の廊下を歩きながら、なのはの容態を報告する。 「検査の結果、怪我はたいしたこと無いそうです。」 「そう……。」 エイミィの報告に、リンディは一言だけ返事を返す。 「ただ……魔導師の魔力の源、『リンカーコア』が極端に小さくなってるんです」 「……じゃあやっぱり、一連の事件と同じ流れね」 「はい。間違いないみたいです。」 最近立て続けに発生していた「魔導師襲撃事件」。 リンカーコアが小さくなるという症状は、その被害者に共通していた。 「休暇は延期ですかね。流れ的に、うちの担当になっちゃいそうだし」 「仕方ないわ。そういうお仕事だもの」 二人はそう言い、ツカツカと歩きながら苦笑する。 「……さて。後はもう一つの問題ね……」 リンディは目的地である部屋のドア前で立ち止まった。 「テッカマン……ですか。」 リンディは一言「ええ……」と返事をし、ドアを開ける。 部屋の中にいるのは管理局から借りた服を着て、ぽつんと座っている男だ。 「気分はどう?Dボゥイ」 「…………。」 第3話「お引越し、そして理由無き敵前逃亡」 「ん……」 医務室で目を覚ますなのは。 ゆっくりと横を見ると、暗い表情をしたフェイトが座っていた。 手には包帯を巻いている。シグナムにやられた傷だろう。 「あの……ごめんね。せっかくの再会が、こんなで……怪我、大丈夫?」 自分のせいでは無いのに謝罪するなのは。 「ううん。こんなの、全然。それより……なのはは?」 「私も平気。フェイトちゃん達のおかげだよ!」 なのはは「元気元気!」と笑いながら腕を動かして元気さをアピール。 二人はしばらくお喋りし、しだいに気まずい雰囲気も無くなっていった。 「ところでフェイトちゃん」 「何?なのは」 少し真剣な表情になるなのは。フェイトは「何だろう?」と聞き返す。 「私を助けてくれたあの……テッカマンさん?のことなんだけど……」 フェイトは「やっぱりその話題か」という顔をする。 「それが、まだよくわかって無いんだ。今リンディさんが取り調べしてるらしいけど……」 「そっかぁ。味方……だよね?」 「うん……多分……」 恐る恐る聞くなのはに答えるフェイト。だがやはり自信は無く、「多分」としか言えなかった。 「もう一度聞くわ。あなたは記憶喪失なのよね?」 「そうだ。何度も聞くな」 取調室でDボゥイに尋問するリンディ。 「なら、ラダムって何なの?貴方が頻繁に口にしていたらしいけど……」 ちなみにこれはフェイトからの情報だ。 「俺が倒すべき敵だ。」 「記憶喪失なのにそれは覚えてるのね。ちょっとおかしく無いかしら?」 「俺が覚えているのは、クリスタルを使ってテッカマンに変身できる事と、ラダムを滅ぼさなければならないという事だけだ」 Dボゥイの話を聞き、「はぁ」と溜め息をつくリンディ。 「……わかりました。それは信じます」 「…………。」 これ以上尋問しても埒が明かない。リンディは諦めて次の話へと進むことにした。 「じゃあ、ここからは貴方へのお願いなんだけど……いいかしら?」 「お願いだと?」 聞き返すDボゥイ。 「ええ。聞いてくれるかしら?」 同時にエイミィが二人にお茶を出す。しかもDボゥイの分までミルクと砂糖をいれ始めるリンディ。 「あ、ああ……」 Dボゥイはこの異様な飲み物を凝視しながら返事を返す。 「ふふ……よかった。まぁ、まずはお茶でも」 そう言いこの緑茶に砂糖とミルクを入れた異様な液体を飲み始めるリンディ。 「…………(ゴクッ)。」 リンディを見たDボゥイも、ソレを恐る恐る口に運ぶ。しかし…… 「ん?……なかなか……いけるな。」 「そうでしょ~?この味がわかってくれて嬉しいわ」 Dボゥイの反応に喜ぶリンディ。 横でエイミィが「マジかよコイツ……」というような青ざめた顔でDボゥイを見つめているが、そこは割愛しよう。 「で、Dボゥイ。私達に協力して欲しいんだけど……」 本題に入るリンディ。 「協力だと?」 「ええ。今回の『魔導師襲撃事件』の解決に手を貸して欲しいの。」 そして魔導師襲撃事件の全容を説明するリンディ。 「あの赤いテッカマンもこの事件に関わっているみたいなの。どうかしら?」 しばらく考えるDボゥイ。本来ならこんな組織に協力してやる義理は無いが 確かにエビルと決着をつけるにはその方がいいかもしれない。 しかも協力するならば当面の住居まで用意してくれるらしい。リンディは巧みな話術でDボゥイを引き込む。 「……いいだろう。協力してやる。」 「本当?感謝するわ!じゃあ、これから……」 「ただし!」 「……え?」 リンディはDボゥイの返答に「よろしく」と言おうとするが、大きな声で遮られてしまう。 「ラダムが現れた時はそっちを優先させてもらう!」 「…………。」 再び真剣な表情に戻るリンディ。そして…… 「わかりました。どうやらそれが貴方の目的みたいだしね……」 リンディは少し考えたが、その条件を飲む事にした。 ちなみにラダムについても「倒すべき敵」としか教えてもらえなかったという。 ラダムを放っておけば大勢の人間が死に、地球は死の星になる……と。にわかには信じ難いが、まぁ信じるとしよう。 「バルディッシュ……。ごめんね、私の力不足で……」 「いっぱい頑張ってくれて、ありがとう。レイジングハート……今はゆっくり休んでてね……」 傷だらけになったデバイスを眺めるなのはとフェイト。 そしてユーノとクロノが、二人のデバイスの状態と今回の敵が使ってきた魔法の説明をする。 あれは「ベルカ式」というらしく、魔力を込めた弾丸で一時的にパワーを跳ね上げる物だという。 「そういえば……ベルカの騎士って……」 フェイトもシグナムの言葉を思い出し……。 同刻、八神家 「じゃあ、お先にお風呂入らせてもらうわ」 シャマル・ヴィータ・はやての三人は浴室へと向かう。もちろんはやてはシャマルに抱き抱えられながらだ。 「シンヤはいいとして……シグナムは入らないのかよ?お風呂好きが珍しいな」 まるでホストのようにソファに座って足を組んでいるシンヤをちらっと見て、シグナムに質問するヴィータ。 「ああ。明日の朝入らせてもらう。」 その言葉を聞き、三人は浴室へと入っていった。 「……今日の戦闘かい?」 三人が風呂に入ったのを見計らって、おもむろに口を開くシンヤ。 「敏いな。その通りだ」 シグナムは服を上げる。 すると、腹辺りにできた傷が目につく。フェイトの斬撃がかすっていたのだ。 「まさかシグナムの装甲を撃ち抜くとはね……」 「良い師に学んだのだろう。それよりも……」 シンヤを睨むシグナム。 「お前が兄さんと呼んでいた、あの白いテッカマンは何だ?」 「ふふ……聞いての通り、僕の兄さんさ。しかも双子のね」 さらっと答えるシンヤ。 「……いいのか?我らに協力したために実の兄と戦う事になっても。」 「もちろんさ。兄さんは俺以外には殺せない……いや、俺以外には殺させない……。」 ニヤッと不敵に笑うシンヤ。シグナムは黙ってシンヤの話を聞いていた。 数日後、海鳴市。 「ここが俺の家……か。」 なかなか豪勢なマンションを見てぽつりと呟いたDボゥイ。 「そうよ、Dボゥイ。もう貴方は家族も同然なんだから、もっと堂々としなさい」 リンディも笑顔で言う。 「そういう訳だ、Dボゥイ。この荷物運ぶの手伝ってくれ」 「ああ、わかった。」 そこへ大きな荷物を持ったクロノが現れ、Dボゥイに手伝うように言う。Dボゥイは仕方ないと思い、それを手伝う。 なのはとフェイトは二人でマンションの玄関から外を眺めてお喋りしている。本当に楽しそうだ。 数分たって、Dボゥイが荷物を運び終えると、リビングに赤い子犬とフェレットが立っているのが目に入る。 赤い犬の方にはどこか見覚えがあるが…… 「新形態、子犬フォーム!」 子犬はどこか聞き覚えのある声でそう言った。 「お前……アルフか!?」 「そうだよ、Dボゥイ!」 Dボゥイは軽く驚く。まさか子犬にも変身できるとは…… 「なのはやフェイトの友達の前では、この姿でなくちゃならないんだ」 今度は頭を掻きながらフェレットが口を開く。 「……お前は?」 「僕だよ、ユーノ・スクライア!」 「(そういえば居たな……そんな奴)」 思ったが口には出さない。この雰囲気で存在自体忘れていたなんて流石のDボゥイにも言える訳が無い。 「……お前らも、大変なんだな。」 Dボゥイは少し同情しながら言った。 「うわぁ~!アルフ小さい!」 「ユーノ君、久しぶり~!」 そこへなのはとフェイトが入ってくる。二人はすぐにアルフとユーノを抱き抱える。 微笑ましい光景だ。こんな平和な日常、Dボゥイのいた世界では有り得なかっただろう 「なのは、フェイト。友達だよ」 今度はクロノがリビングに戻ってきて、笑顔でそう伝える。 「こんにちわ~」 「きたよ~」 さらにその直後、リビングにアリサとすずかが現れる。二人共満面の笑みだ。 そしてリンディの申し出でなのは達はなのはの家族が経営している喫茶翠屋に行く事になった。 クロノとエイミィ、そしてDボゥイは留守番だ。 「ロストロギア……闇の書の最大の特徴はそのエネルギー源にある。」 皆がいなくなった後、リビングに闇の書の画像を表示しながら説明を始めるクロノ。 「闇の書は魔導師の魔力と、魔法資質を奪うために、リンカーコアを喰うんだ。」 「なのはちゃんのリンカーコアも、その被害に……?」 質問するエイミィ。 「ああ、間違いない。リンカーコアは魔力を喰う事でそのページを増やしていく。 そして、最終ページまで全て埋めることで、闇の書は完成する……」 「もし完成したら、どうなるんだ?」 今度はDボゥイが質問する。 「少なくともろくな事にはならない……。」 「そうか……。そんなことにエビルは協力しているのか……」 エビルは一体何のためにそんなことに協力しているのだろうか? いや……そんなことはどうでもいい。エビルは倒せばいいだけだ。目的など知った事では無い。 「……エビル?あの赤いテッカマンか……?」 Dボゥイの一言を聞き逃さなかったクロノ。 「ああ。奴は俺がこの手で倒す……!」 「…………。」 言いながら拳を握りしめるDボゥイ。クロノは何も言わずに黙ってそれを見つめていた。 まさかこの時「倒す」=「殺す」などとは思っていなかったのだから……。 数時間後、ハラオウン家。 「フェイトか。」 「あ……おかえり、Dボゥイ」 空も暗くなり始め、Dボゥイが海鳴市の散策から帰ってくる。まぁ散策といってもただの散歩だが。 「提督とクロノは?」 テレビを見ているフェイト以外の人影が無い事に気付いたDボゥイ。 「さっき本局へ行ったよ。今日は遅くなるって……」 Dボゥイは一言、「そうか。」と返す。 「それにしても……この世界は本当に平和なんだな。」 「え……?」 突然の言葉に反応するフェイト。 「いや、ラダム樹が一本も生えていなかったからな。」 「……ラダム樹?」 聞き慣れない単語だ。 「いや、何でも無い。気にしないでくれ」 「う、うん……。」 Dボゥイもうっかり口を滑らしそうになったことに気付く。油断は禁物だ。 同刻、海鳴市。とあるビルの屋上。 屋上の扉を開け、ヴィータが走ってくる。 それを見たシグナムが「来たか。」と呟く。 「うん。今、何ページまで来てるっけ?」 「370ページ。この間の白い服の子で、だいぶ稼いだわ」 ヴィータの質問に闇の書をパラパラとめくりながら答えるシャマル。 「おし、半分は越えたんだな!ズバッと集めて、早く完成させよう!それで、はやてとずっと一緒に、静かに暮らすんだ!」 一同は再び決意を固め、ヴィータの顔を見る。 「そろそろ行こうか。もう時間もあまり無い」 そこでシンヤが言う。それを聞いた一同は頷き、シグナムとヴィータはネックレスを、シャマルは指輪を掲げる。 「ゆくぞ、レヴァンティン!」 シグナムの体を騎士甲冑が包んでいく……。 「クラールヴィント!」 「グラーフアイゼン!」 それに続き、シャマルとヴィータもデバイスを起動。三人の体を光が包み、次の瞬間には変身が完了していた。 そして…… 「テックセッタァーッ!!」 それに続いてシンヤも赤いクリスタルを掲げる。同時に赤い装甲を身に纏い、テッカマンエビルへと変貌する。 「それじゃあ、夜明け前にまたここで!」 「ヴィータ、あまり熱くなるなよ」 「わかってるよ!」 次の瞬間、ヴォルケンリッターとエビルの5人は光の如き速度でその場から飛び去っていた。 一方、アースラ。 エイミィは本局メンテナンススタッフであるマリーからの通信を受けていた。何やらデバイスの様子がおかしいらしいが…… 『部品交換と修理は終わったんですけど、エラーコードが消えなくって……』 モニター越しに困った表情で相談するマリー。 「エラーって……何系の?」 『必要な部品が足りないって……今データ送りますね』 マリーが送信ボタンを押すと、すぐにデータの一覧が届く。 「お、きたきた……ってこれ!?」 エイミィも届いたデータを見て驚く。 「エラー解決のための部品 CVK-792を含む システムを組み込んで下さい」 『2機共、このメッセージのまま、コマンドを受け付けないんです』 エイミィは驚いた顔でパネルを叩く。 「(レイジングハート、バルディッシュ……本気なの? CVK-792……ベルカ式カートリッジシステム……!)」 モニターに表示された『お願いします』という文字。エイミィはその文字を見つめる……。 「もう3時か……」 闇の書とテッカマンブレードの出現によりクロノ達はさらに仕事が増え、今日も遅くまで残業だ。 魔導師襲撃事件は正式にアースラメンバーが対応することとなった為、 執務官のクロノと提督兼艦長のリンディの多忙さはさらに加速している。 「もうフェイトも寝てるだろうな。」 コンピュータのパネルをカタカタと叩きながら呟く。クロノも兄として妹を心配しているのだ。 その時…… ピピピピピピッ 通信が入る。誰かと思いながらモニターに回すクロノ。 『クロノ!』 「か、艦長?どうしたんですか?」 相手はリンディだ。たとえ母親といえど仕事中は敬語で話す。 『辺境の世界に、テッカマンと思しき反応が確認されました』 「何だって!?」 『クロノ。わかってると思うけど、フェイトちゃんもなのはちゃんも今は戦えません。行ってくれるわね?』 レイジングハート・バルディッシュは修理中、さらに持ち主は睡眠中と来た。ならば今動けるのはクロノのみ。 「わかりました。すぐに向かいます。」 そう言い、通信を切ったクロノはS2Uを手に立ち上がろうとするが…… ピピピピピピッ 再び鳴り響く通信。 「くそ、誰だこんな時に!」 クロノは苛立ちながらも通信に出る。 しかしモニターには何も表示されない。つまり音声のみということか。 「はい、もしもし!」 『クロノか。俺だ』 「Dボゥイか!?」 『ラダムのテッカマンが現れた。すぐに出動させてくれ!』 「ああ、わかってるよ!僕も今から行くところだ」 こうしてクロノとDボゥイは二人でテッカマンが現れたという辺境の世界へと向かうのだった。 「ふん……テックランサァーーーー!!」 見渡す限り何も無い世界。 エビルは巨大な龍のような敵にテックランサーを突き刺し、切り刻む。 龍の血が飛び散り、体の中身はえぐられ、肉が飛び出す。 龍は悲痛な叫び声をあげる。もう助からないだろう。かなりグロテスクな光景だ。 「もういいわ!止めてシンヤくん!収集できなくなっちゃう!」 そこでシャマルが叫び、エビルの攻撃をストップさせる。 ストップさせた理由の一つとして、これ以上こんな酷い光景を見たくは無いというのもあるが…… シャマルは動けなくなった龍のリンカーコアの収集を開始する。 「フン……毎度ながら敵にトドメを刺せないのはつまらないね……」 「そう言わないの。シンヤ君はいつもやり過ぎなのよ。私達の目的は殺す事じゃ無いのよ?」 残酷なエビルに戒めるように言うシャマル。 「……そんなことはわかっている。ただ、殺せないのはつまらないと言っただけだよ」 「シンヤくん……。」 シャマルは溜め息をつきながらエビルを見る。元々残酷な性格なのだろう。何を言っても無駄だ。 『ブレイズキャノン』 「……な!?」 次の瞬間、彼方から飛んでくる光に気付いたシャマルは咄嗟に飛びのく。 「シンヤくん!?」 だがエビルは微動だにせず、ブレイズキャノンの直撃を喰らう。 そして光が晴れ…… 「ククク……やっぱり来てくれたね?兄さぁん!!」 エビルは全くの無傷だ。シャマルも「ぎょっ」とする。 それもそのはず。いかに魔導師であれ人間が放った、しかも「非殺傷設定」付きの 魔法に当たった程度では、核爆発にも堪えるテッカマンの装甲を傷付けるのは不可能だろう。 「シンヤくん……大丈夫なの?」 「当たり前だ。最強のテッカマンであるこの俺がたかが虫けらの技に当たった程度で死ぬ訳が無い」 シャマルはエビルがさらっと言った「虫けら」という言葉に対し少し暗い顔をする。 戦闘になると態度や言葉遣いなど……いろいろと残酷になるのは今に始まった事では無い。 エビル。この男だけは敵に回したくは無い。シャマルはそう思った。 「シャマル。お前は先にこの場所から離れろ。奴らは俺が片付ける」 「う……うん。わかったけど、くれぐれも殺さないでね?」 「ああ。極力ね」 「……じゃあ、ここは任せるわね。」 はやての未来を血で染めたくは無い。だから「殺さないように」と念を押し、シャマルは戦線を離脱した。 「……片方には逃げられたか。」 遠くでシャマルが離脱したのを見て、クロノが言う。 「……エビルッ!」 だがもうそんなことは眼中に無く、Dボゥイの頭は目の前のエビルでいっぱいだった。 そんなDボゥイの目の前にスラスターを一気に噴射させ飛んでくるエビル。 「また会えたね?タカヤ兄さん」 「シンヤ……いや!テッカマンエビルッ!!」 エビルは人間の姿に戻り、ゆっくりと歩いてくる。 「嬉しいよ。また兄さんと戦えるなんて」 「……ああ、俺も嬉しいさ。お前をこの手で殺せるんだからな!」 二人の距離はわずか1m程にまで縮まっている。クロノはすぐ側でそれを見ているが…… 次の瞬間、二人は一気にジャンプし、10mほど距離をとった。お互いの手に輝くのは緑と赤のクリスタル。 そして…… 「「テェックセッタァーーーーーーーーーッ!!!」」 二人の体を赤と緑の光が包み…… 「テッカマンブレードッ!」 「テッカマンエビルッ!」 二人はそう名乗った。クロノは変身したエビルにS2Uを構えるが、エビルの姿はすぐに消える。 「なに!?」 空を見上げれば、緑と赤の閃光が凄まじい速度でぶつかり合っている。 あまりに速過ぎる動きのせいで、スラスターの光がそう見えるのだ。 「クソ……これじゃ照準が定まらない……砲撃も、バインドも……!」 クロノは空で戦う二人を見て、何もできない自分に苛立ちを感じる。 Dボゥイ……いや、ブレードがエビルを弱らせた所をバインドで拘束、本局へ連れ帰るしかない。 「Dボゥイ……!」 クロノは悔しい表情をしながらDボゥイの名前を呼ぶ。 「うおおおおッ!!」 テックランサーを分割し、両手に持ったランサーでエビルを攻撃する。 「甘いよ兄さんッ!!」 エビルはテックランサーで片方のランサーを弾き、もう片方のランサーをラムショルダーで受ける。 そして二人はその場所から再び距離をとる。 「くらえッ!」 エビルは短剣の嵐をブレードに見舞う。 「そんなもの!」 だがブレードはそれをダブルランサーで弾いて弾いて弾きまくる。そうしながら距離をつめ…… 「うおおおおおッ!!」 再びダブルランサーを一本のテックランサーに合体させ、振り回しながら突進。 「チッ!」 それを自分のテックランサーで受け止めるエビル。 お互いのテックランサーは激しい火花を散らしながらぶつかり合い、睨み合うエビルとブレード。 二人はまた離れ、再びテックランサーでの突進でぶつかり合う。それがしばらく繰り返される。 「……これならどうだ!」 埒が明かないと踏んだブレードは自分の装甲を変形させる。足や肩、手などといったあらゆる装甲がスリムになってゆく。 「クラッシュイン……トルゥーーーーーードッ!!!」 次の瞬間ブレードはさらに速い、まさに光のような速度に達していた。 それは凄まじい速度で空を駆ける。ブレードが通った後は、まるで空に緑色の絵を描いたかのように輝く。 「うおおおおおッッ!!!」 「く……ぐぁッ!」 右から、左から、あらゆる方向から飛んでくる閃光に翻弄されるエビル。360゚からの攻撃にさらされ、エビルの装甲に傷が入っていく。 「……調子に乗るなァッ!」 だが、流石にエビル相手にずっと同じ攻撃が通用する訳も無く、ついにテックランサーで受け止められる。 ブレードはすぐに変形を解除、テックランサーでエビルを斬ろうとするが…… 「死ね!ブレェーーードォッ!!」 エビルは一瞬できた隙を突いてブレードの胸にテックランサーを突き刺す。 「ぐぁあああッ!」 その衝撃でブレードはこれまた凄まじい速度で地面に落下。近くにいたクロノはそれにより生じた砂埃にむせる。 「おい……クロノ……!」 ブレードは自分が地面に落下・激突することでできたクレーターからはい出るように立ち上がる。 「なんだDボゥイ?」 「俺がテックセットしてから……何分たった……?」 「え?……多分、もうすぐ30分くらいだ。それがどうかしたのか……?」 「そうか……!」 ブレードは再び凄まじい速度で空へと飛び上がった。 「(そろそろ決着をつけないと……俺は……!)」 ブレードはエビルと同じ高度で静止。エビルとの距離は……だいたい100mくらいか。 そしてブレードの両肩の装甲が開き、中から巨大なレンズのような物が飛び出す。 「……なんだ?何をする気なんだ、Dボゥイは……!」 クロノは地上で目を見開く。 「エビルゥーッ!!」 ブレードは叫びながら両腕を広げる。まるで何かを発射するような体制だ。 そして両肩のレンズ状の物体が光りを吸い込み輝き出し…… 「ハハハハハッ!滑稽だね、兄さん!」 それを見たエビルは高らかに笑い始める。 「まさか俺のPSYボルテッカの効果を忘れた訳じゃ無いだろう!えぇ!?兄さぁんッ!!」 エビルも笑いながら、ブレードと同じように両腕を広げる。同時に胸のボタンのような物が光を吸い込み、輝き始める。 「これで終わりだ、エビルゥーーーッ!!」 「これで最期だ、ブレェーーードォッ!!」 そして…… 「ヴォォルテッカァァァーーーーーッッ!!!」 「PSYボォルテッカァーーーーーーーーッッ!!!」 刹那、二人の体から放たれた光が衝突する。凄まじい衝撃に、周囲の物全てが吹き飛びそうになる。 「な……なんて威力だ……!これは……スターライトブレイカーなんかの比じゃないぞ……!」 『プロテクション』 クロノも衝撃だけで吹き飛びそうになり、S2Uで障壁を張る。まさか、直接攻撃された訳でも無いのに、 ましてや味方の放った攻撃の衝撃に堪えるために障壁を張るなんて初めてだ。 「クソ……障壁が……!」 だが例え障壁を張ろうが、反物質粒子の塊であるダブルボルテッカに堪えるのは少しばかりきつい。 だんだんとS2Uの障壁は脆くなってゆき、今にも吹き飛ばされそうだ。 何度も言うが、これはあくまで衝撃に過ぎず、攻撃された訳では無い。 「「うおおおおおおおおッッ!!!」」 二人は叫びながらお互いのボルテッカをぶつけるが、ブレードが放った緑のボルテッカは次第に威力を失っていく。 そして代わりにエビルの発した赤いボルテッカは威力を増していき…… 「終わりだね……兄さん!」 「……!?」 エビルのPSYボルテッカはブレードのボルテッカを吸収・無効化し、そのままブレードに直撃する。 「ぐぁああああああああああああッッ!!!」 大きな叫び声と共に再び地面に落下するブレード。 クロノはすぐにブレードに駆け付ける。 「大丈夫か、Dボゥイ!?」 「う……ぅ……」 ブレードはフラフラと立ち上がる。 「まだ戦えるよな?兄さん。威力は絞ったはずだぞ?」 エビルが挑発的に言う。ブレードとクロノはそんなエビルを睨み付ける。 「まだ……戦える!」 「Dボゥイ……!」 ブレードは再び飛ぼうとしたが、そうは行かなかった。 「う……ぐぁあああ!」 突然頭を抱えて苦しみ出したのだ。 「ふふ……タイムアウトだよ、兄さん」 「……ッ!!」 ブレードは最後に一瞬、エビルを睨み付け、そのままスラスター全開で立ち去った。それもクロノを置きざりにして。 「Dボゥイッ!?」 「ハハハハハッ!お前はブレードに見捨てられたのさ!」 エビルはクロノを見てまた高らかに笑い出した。 「(そんな……Dボゥイ……!)」 クロノは悔しい表情で笑いながら立ち去っていくエビルを見るしかできない。 理由無き、敵前逃亡……。 戻る 目次へ 次へ
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時空管理局本局。 その医療ブロックへと向かう廊下を一人の少年が必死になって走っていた。 擦れ違う人々が驚いた様子で少年を振り返るが、本人は全く気が付いていないようだ。 少年の名前はユーノ・スクライア。 幼くして無限書庫の司書長に就任した新鋭である。 だが今の彼を包んでいるのは、才気溢れる溌剌さではなく、深い負の感情を内包したどこまでも暗い雰囲気である。 “任務中になのはが攻撃を受けた。重体だ” そう淡々と連絡を寄越してきたのは、出会ってから2年の付き合いになるクロノ・ハラオウンである。 最初、ユーノは自分の耳がおかしくなったのかと思った。 今回なのは達が任務に向かった場所は、自分が調査した上で何の害も無いだろうという判断を下した遺跡だった筈なのだ。 まかり間違っても攻撃を受けるような場所ではない。 しかし、通信画面に映っているクロノの顔はどこまでも無表情であり、友人のそんな態度を見せられては、今耳にした言葉が事実であると認めざるを得なかった。 (僕のせいだ!僕がなのはに魔法を教えてしまったから!僕がなのはと出会ってしまったから!) 後悔で息苦しくなりそうになりながら走った。 体中の力が抜け落ちそうになるのを何とか抑えながら走った。 胃の中に氷の塊があるように錯覚しながら走った。 目の前が涙で霞みながら走った。 頭がガンガンと痛んだがお構いなしに走った。 そして辿り着いた。 集中治療室の前。 そこに集まった知人達―――高町家、ハラオウン家、八神家の面々―――は、暗く沈んだ表情を浮かべていた。 恐らく自分も似た様なものだろう。 「ユーノ・・・」 こちらに気付いたフェイトが声を掛けてくる。 返事をしようとするが、ここまで全力疾走してきたので上手く答えられない。 呼吸を整えようとするが、動揺しているせいか逆に咳き込んでしまった。 「なっ、なのは・・・っは?」 ようやく出せた問いに、しかしながら答える者は誰も居なかった。 唯、“使用中”のランプが点灯した扉を見遣るだけである。 それを見た瞬間足が言うことをきかなくなり、床に座り込んでしまった。 立っていられるような状態でもなかったのだが。 「おい、ユーノ。そんな所に蹲ってないでこっちにきたらどうだ?」 「クロノ・・・」 そう言われ、のろのろと立ち上がりクロノの傍へ歩いていくと、力なく尋ねた。 「何があったんだ?あの遺跡にそこまで危険はなかった筈だ」 「・・・見たこともない質量兵器の襲撃を受けた」 「質量兵器?でもあの遺跡は・・・」 「分かってる。外部からの介入の線が高い。忙しいと思うが、事後調査に付き合ってもらうぞ」 「ああ、勿論さ」 「それと、自分を責めるな」 「・・・」 「今回の事は、誰が悪いわけでもないんだ。抱える必要の無い責任は、お前を苦しめるだけだぞ」 「それは・・・」 ユーノが反論しようとした時だった。 待合室の扉が開けられ、3つの影が差す。 1つはリンディのもの、そしてもう2つは・・・。 「レイヴン、シャドー・・・」 今まで項垂れていたヴィータがその姿を見て呟く。 しかし名前を呼ばれた当人は返事をすることなく、愕然とした表情を浮かべてユーノを凝視している。 視線に気付いたユーノは、居心地悪そうに問いかけた。 「あの・・・何か?」 「・・・いや、何でもない」 レイヴンはそう答えると、悄然とした様子のヴィータに向き直った。 「彼女の容態は?」 「分かんねえ。手術が始まってから結構経つんだけどよ、まだ終わらねえんだ」 「そうか」 「お前こそ、もういいのか?重要参考人だろ?」 「尋問は8割方終わったそうだ。ここに来たのは・・・手当てした身としては気になるからな。まあ、監視付きだが」 肩を竦めてリンディを示すレイヴン。 と、その時だった。 手術室の電灯が消え、手術を行っていた医師がドアを開けて出てくる。 その医師とは、唯一この場に姿を見せていなかったシャマルであった。 「手術は成功です。なのはさんは一命を取り止めました。しかし、現状での魔法の使用及び、自力での歩行は困難であると言わざるを得ません。リハビリを行っても、治るかどうか・・・」 重々しく告げられた内容に凍りつく一同。 そんな痛いほどの沈黙を破ったのは、ユーノだった。 「僕の・・・僕のせいだ。僕がなのはに魔法を教えてしまったから・・・」 そういって崩れ落ちるユーノ。 目から止めどなく涙が零れるが、それを拭えるほどの気力は今のユーノにはなかった。 そんなユーノをクロノは叱咤する。 「よせ、ユーノ。そんな事を言うもんじゃない。それに誰に責任があるかといえば、それは彼女の不調に気付かなかった僕だ」 「でも、なのはは僕と出会わなければ、こんな怪我をすることはなかった。僕と出会わなければ、普通に笑って暮らせていた筈なんだ・・・」 「いい加減にしろ、ユーノ。なのはがいたお陰で、フェイトとはやては、今こうやって生きていられる。その結果まで否定する気か?」 それを聞いたユーノは黙り込んだが、納得した様子は見られなかった。 クロノもこれ以上言うことはないのか、口をつぐんだままだ。 こうしてなのはが生還したことを喜ぶこともなく、待合室は再び重苦しい雰囲気に包まれ始めていた。 「ユーノとかいったか?あいつは誰なんだ?」 今までのやり取りを横目で見ていたレイヴンは、ヴィータに小声で話しかけた。 なのはが生きている事を聞いてホッとしていたのか、それとも後遺症の事にショックを受けていたのか、ヴィータはすぐには答えられなかった。 「おい、ヴィータ?」 「ん?ああ、すまねえ。何だ?」 「だから、あのユーノって男。何者なんだ?」 「ユーノか。あいつは、なのはの魔法に出会うきっかけになった奴さ。いい奴だよ。 そういや、なのはの魔法の先生もやってたな。攻撃はからきしだけど防御は硬いの一言につきるぜ。 まあ、責任感じるのは分かるけど、今回のは・・・」 「待て。今、何て言った?」 「?なのはの魔法の先生だったって・・・」 「違う、その後だ」 「防御が硬いってとこか?それが一体どうしたってんだ?」 「あいつは今、何歳だ?」 「?確かなのはとタメだから11歳の筈・・・」 「11歳・・・」 それを聞いたレイヴンは深刻な表情を浮かべた。 ヴィータは、目の前の男が始めて見せる真剣な表情を訝しげに見つめた。 この男はなのはが、怪我したときもこれ程深刻な表情を浮かべていただろうか? 「最後に一つ。あいつは孤児なんじゃないか?」 「あ、ああ。そうだけどよ。ユーノに何かあんのか?聞きたいことがあんなら、本人に直接・・・」 「・・・いや、こっちの問題だ。気にしないでくれ」 そう言うとレイヴンは待合室の隅に移動すると腕を組んで何か、考え事を始めたのだった。 Another View (Raven) 一目みた瞬間から、まさかとは思っていた。 あまりにも似通っていたのだ。 見た目だけではない、雰囲気もだ。 だが、それだけなら、唯の思い過ごしだと切り捨てることも出来た。 しかし、先程ヴィータから聞いた情報が確かなら、偶然で片付ける事は出来ない。 硬い防御力、11歳、孤児、そしてユーノという名前。 これらの要素を鑑みるに、ほぼ間違いないだろう。 第一、自分自身の直感が告げているではないか。 (間違いなくあいつは、11年前に行方不明になった、バンとフィーネの息子 ユーノ・フライハイトだ) Another View End 戻る 目次へ 次へ
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魔法少女リリカルBASARAStS ~その地に降り立つは戦国の鉄の城~ プロローグ 自分は今、戦場にいる。 戦場とはいっても四角い土俵に立ち、周りには観客がいる。誰が開催したかは知らないが自分は「第二回婆沙羅大武道会」という大会の土俵の上にいる。 いつの間にか決勝戦だ。この試合に勝てば100万石が手に入るという。心なしか我が主の声援も力が入っている。 相手は三日月の鍬形をした兜に蒼き鎧。手に持つは六本の刀。もう一人は前者とは対なるように上半身裸に赤いジャケット。そして手には二本の槍。二人ともこちらに殺気を放ってくる。 一方、自分が手に持つは巨大な槍。先端が回転する槍だ。 世間では自分が持つこの槍のことを「ドリル」と呼ぶ者がいる。関係ない話なのだが。 「試合・・・開始!!」 この騒ぎの中でも審判の試合開始を告げる声がはっきりと聞こえた。 その瞬間二人は自分へと迫る。自分も負けじと槍を構え、横に振るう。彼らは当然のごとく避けた。こんな攻撃が当たらないのはわかっている。 すばやく槍をまた横に振るう。矛先は蒼い鎧の武士。その武士は槍の一撃を受け、かなり後方まで吹き飛ばされる。 次は縦一直線の振り下ろし。次の矛先は赤き武士。しかしその攻撃は防御される。さすがに驚いた。自分の一撃を防御しきれた者を見るのは初めてだ。 「Hey!!敵は一人じゃねぇぜ!?」 後方が異様に暗い。振り向くと先ほどの蒼い鎧の武士が低く構えている。腕が蒼白く光り、稲妻が走っている。 「Hell dragon!!」 腕を前に突き出すと自分の身長ほどもある稲妻の球が迫ってきた。回避行動や防御行動も間に合わず当たってしまった。 体が、浮いた。決して揺らぐことのなかった自分の体が今、宙に舞っている。 硬い土俵の感触を味わうのを許さないがごとく、赤き武士が自分が着地する地点に立っていた。 「千両花火ぃぃ!!」 一つに連結した槍の一撃が顔面に当たる。数回宙で回転してから自分の体が地に落ちた。 その瞬間、自分の中の「青い目盛りみたいな何か」が満タンになったのを感じた。 自分の体を起こし、槍を地面に思い切り刺した。その衝撃で二人の武士は宙に浮く。 自分も宙に浮き、背中から円陣を形成する。 円陣の漢字の一文字が光り、回転を始める。次第に回転が速くなる。 「終わりにしろ!!○○!!」 自分の名を叫ぶ主。無論、そうするつもりだ。主よ、もうすぐその手に巨万の富を掴ませて差し上げます。 だが、異変は起こった。 地面がない。 それは自分の周囲だけであった。しかし皆も突然のことに唖然とする。 自分はこんな地面を無くすほど強大な力を持った覚えはないし、主から聞いたこともない。 地面がなくなったことによって生じた穴は大きくなる。 そして二つ目の異変に気づく。 自分がその「穴」に引きずりこまれている。 どんなに離れようと力を振り絞ってもその穴からは離れられない。 逆にどんどん引き込まれていく。 思わず天に手を伸ばす。しかしその手を掴む者はいない。 「○○!!○○!!」 必死に助けに行こうとするがほかの家来に制止されている主。ああ、あなたに巨万の富を掴ませることができなくて自分が許せません。 こんなところで終わるのだろうか。主、申し訳ございませんでした。 「○○!!」 どんどん遠くなっていく主の声。そして目の前も暗くなり始めた。 しかし、意識が無くなる前に、自分の名前をはっきりと呼ぶ主の声が聞こえた。 「忠勝!!行くな!!忠勝っ!!」 これでお別れかもしれませんね。さようなら、主。 「ただかぁぁぁぁぁぁぁぁぁつっ!!」 目次へ 次へ
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魔法少女リリカルなのはStrikerS レビュー (ジャンル:魔法少女、SF、ファンタジー) 全26話 監督:草川啓造 アニメーション制作:セブン・アークス 評価 ストーリー キャラクター 声優 映像・作画 2点 2点 15点 14点 合計33/100点 感想 とにかくキャラクターが多すぎる。この一言に尽きます。 キャラそれぞれの色々な境遇を明らかにされて表面的な事が分かっても、 中身の描写がありません。一度説明してさっさと流してしまうので。 というか、この作品のテーマが分からないのでそれ以前の問題ですね。 これが描きたい!という強いものは何も感じませんでした。 (いままではロリコンの為の作品という事だったけど…。 正直なのは は「少女」というのも無理がある貫禄。(笑)) このシリーズの特徴である、どうでもいい会話が無駄に長く、 設定や自分の感情等を全部キャラに説明させて終わり。という構成は変わっていません。 2クールの情報を知ったとき、 説明セリフが減るから面白くなるかもしれないと期待していましたが、 キャラもストーリーも2クール用(笑)になり、 この無能な製作者達では放送期間が2年あってもまともな作品が作れないでしょう。 「魔法少女リリカルなのはStrikerS」アニメ公式サイト
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リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル 書き手紹介 3314 :やってられない名無しさん:2013/02/21(木) 16 30 19 ID ???0 遂に完結2周年突破! リリカルなのはクロス作品バトルロワイアルの書き手紹介! 【渾名】灼熱の英雄王 【トリップ】◆Vj6e1anjAc 【投下数】44作 【代表作】「月蝕・終章」「魔法少女、これからも。(最終回)」 本スレでの連載と並行し、企画最初期からSSを投下し続けた、なのはロワ投下数三巨頭の一角。 繋ぎから熱血バトル、鬱展開と、満遍なく投下数を重ねている。 自らが元SSを連載していたセフィロスのエピソードは、「元SSの続編のようだ」と話題を呼んだ。 【渾名】叡智の司書長 【トリップ】◆7pf62HiyTE 【投下数】38 【代表作】「王の財宝」「Zに繋がる物語」 序盤と中盤の境目あたりから名乗りを上げた、なのはロワ投下数三巨頭の一角。 脳筋共が大暴れする中、着実に考察エピソードを重ね、知能面からなのはロワを支えた。 難しいテーマをめげることなく、コンスタントに投下し続けたその姿勢には、敬意を表したい。 【渾名】非情の殲滅者 【トリップ】◆HlLdWe.oBM 【投下数】38 【代表作】「崩落 の ステージ」「Round ZERO~AMBITION SECRET」 企画が軌道に乗った頃から参戦し、以降終盤まで企画を支えた、なのはロワ投下数三巨頭の一角。 他の書き手達が嬉々としてやんちゃを働く中、こつこつとキルスコアを稼いだマーダー書き手。 地味だが堅実なエピソードが多く、彼もまたこのロワの完結には、欠かせない存在であったと言えよう。 【渾名】光速の竜騎兵 【トリップ】◆gFOqjEuBs6 【投下数】21 【代表作】「タイムラグは30分」「Alive a life」 本スレでの連載と並行し、最初期から企画を支えた書き手。 記念すべき第200話では、エピローグ書き手としてロワを締めくくっている。 本ロワのウェイトを大きく占める、特撮作品への造詣が深く、数多くの印象深いエピソードを投下している。 【渾名】不屈の先駆者 【トリップ】◆Qpd0JbP8YI 【投下数】19 【代表作】「なごり雪」「Little Wish」 企画最初期から参戦し、主に中盤までを支えた書き手。 流れが停滞し始めた頃に、怒涛のごとくSSを重ねた、序盤最大の功労者の1人。 あらゆるジャンルのSSを投下していたが、特に叙情的なエピソードを得意としている。 3315 :やってられない名無しさん:2013/02/21(木) 16 32 52 ID ???0 【渾名】荒野の銃撃手 【トリップ】◆jiPkKgmerY 【投下数】10 【代表作】「童子切丸は砕けない」「それでも台風は微笑う。そして奔る」 本スレでの連載と並行し、主に中盤までを支えた書き手。 独特なムードを持ったSSは、読み手の心に深く染み込み、その心を掴んで離さない。 意外とド派手に状況を動かすことも多く、なのはロワ=大量破壊の風潮の先駆けとなった人物でもある。 【渾名】暗黒の破壊神 【トリップ】◆WslPJpzlnU 【投下数】6 【代表作】「盟友」「13人の超新星」 本スレでの連載と並行し、主に序盤に投下を重ねた書き手。 投下数こそ少ないが、1つ1つの文章が、強烈なインパクトを宿している。 暴力的なパワーを持ったバトル描写と、後半で手掛けたなのはロワ最大のどんでん返しは、まさに破壊神の名に相応しい。 【渾名】天道の探究者 【トリップ】◆LuuKRM2PEg 【投下数】5 【代表作】「罪」「解ける謎!」 本スレでの連載と並行し、終盤の展開を支えた書き手。 主に繋ぎを担当することが多く、縁の下の力持ちとして、ラストスパートを支えていた。 必然、投下数は少なくなってしまったが、今後他のロワにおいても、活躍を期待したい。 【渾名】勇気の挑戦者 【トリップ】◆19OIuwPQTE 【投下数】1 【代表作】「魔法少女リリカルなのはBR」 なんと最終回の一歩手前という、大変なタイミングで殴り込んできた書き手。 投下数は僅か1作だが、混戦を見事にまとめ上げ、続く最終回へのバトンを託した。 状況的に相当な勇気の要るタイミングでの参戦に、改めて敬意を表したい。 3352 :やってられない名無しさん:2013/03/01(金) 23 55 33 ID ???0 3314-3315 なのはロワはゲームで「星光の殲滅者」とか「雷刃の襲撃者」とか出てくるからそこから取ったのかと思われる と、2名追加で紹介してみる 【渾名】連環の言葉使 【トリップ】◆WwbWwZAI1c 【投下数】5 【代表作】「お昼ごはんの時間だよ」「Ooze Garden(軟泥の庭)」 中盤から終盤にかけてふっと現れてササッと繋ぎ話を投下した書き手。 一見どれも普通の繋ぎ話に見えるが、実はタイトルがしりとりになるという仕込みを入れている。 終盤でセリフオンリーの話を書いてみたりと、少々変わった言葉の使い方をする繋ぎ書き手である。 【渾名】開幕の遊戯士 【トリップ】◆UOleKa/vQo 【投下数】3 【代表作】「それは最悪の始まりなの」「オタクと吸血鬼とレバ剣と」 本スレでの連載と並行し、記念すべきオープニングを投下した書き手。 投下数こそ少ないものの終盤まで続くスバル&こなたのペアを生み出した事は外せない。 またオープニングで主催者プレシアにロワを「デスゲーム」と呼ばせているのは、遊戯王GXとのクロスSSを書いている氏ならではと言えよう。
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仮面ライダーらしく ◆Qpd0JbP8YI キングと天道を乗せたカブトエクステンダーは温泉を目指し、川沿いの道を疾走していた。 碌に整備もされていない道だが、カブトエクステンダーの能力のおかげだろうか、 その悪路ともいうべき道のりをキングでも難なく進めていた。 このままならすぐに温泉へと着くだろう。 キングがそう思った矢先、道の向こうから三人の姿がキングの目に入ってきた。 ズサッと驚くほどの制動距離でもってバイクを三人の前で停止させ、 キングは一人一人の顔を検分しようとする。 だが、そんな事をする前にキングの前に歩み寄る人物が一人。 「ちょうどいい。お前、俺と戦え」 カテゴリーキングに属するアンデッドを前の前にしても、 何ら臆することなく獰猛な瞳を向ける浅倉威であった。 「戦う? ちょっと待ってよ。僕はこのゲームになんか乗っていないよ」 「そんな事を関係ない。お前は強いだろ? だったら俺と戦え」 ただの人間の不遜な態度に流石のキングも幾分かの反感を覚えないわけではないが、 生憎と今は背中に大切な玩具を背負っている。 それをこんな事で壊してしまっては堪ったものではない。 それに態々デスゲームとやらを面白くしてくれそうな人間を、 自分の手で殺してしまうのも憚られる。 「いやいや、僕と戦ったってつまらないよ。それに、ほら」 そう言い、キングは背中で気を失っている天道を見せる。 「僕はこれからこの人間を手当てしなくちゃだからさ」 「そいつは……!」 「おや、知り合い?」 「俺の獲物だ。お前がそいつをやったのか?」 「まさか! 僕はそんなことはしないよ。最初に会った時から、こいつはこんなんだったよ」 「そうか……じゃあ、俺と戦え」 「いや、待ってよ。何でそんな話になるのさ。全然話が繋がってないよ」 「関係ない」 にべもない一言。 浅倉は一歩、また一歩とヴィンデルシャフトを構えながら、キングにへと歩み寄っていった。 とは言っても、相手はアンデッド、キング。 そんな事に全く動じもせずに、目の前の男を吟味しつつ、相手がどんな人間か―― いや、『CROSS-NANOHA』を持つキングは相手が誰であるかを考え始めた。 「そう言えばさ、君は天道のことを獲物って言ってたよね? ひょっとして、前からこいつのことを知ってたの?」 「さあな」 ふ~ん、と喉を鳴らしながら、キングは自らの記憶を探る。 『CROSS-NANOHA』における仮面ライダーの部分は 他の物よりはよく目を通したとはいえ、まだ全てを覚えきったわけでない。 でも、そんな斜め読みでも天道と同様に印象に残った人物が一人いた。 そしてその確認の為にも、キングはあるキーワードを歩み寄る男に告げてみた。 「そういえば、この天道って人、最強の仮面ライダーらしいんだよね」 「なに!?」 その動物のように野生じみた瞳に一瞬、驚愕の色が写ったのをキングは見逃さなかった。 「ねえ、君の名前を聞いてもいいかな?」 「……浅倉だ」 「そっか」 その答えを聞いて、キングは傍から見ても分かるような笑みを隠さず浮かべた。 「じゃあ、やっぱり君も仮面ライダーなんだね?」 その質問を聞いて、浅倉もキングに負けず劣らずの凄絶な笑みを浮かべた。 「なるほど。それなら話は早い。お前も仮面ライダーなら……」 顔に笑みを浮かべたまま、浅倉はヴィンデルシャフトをキングに向けて、振りかぶった。 「俺と戦え!」 狂気と歓喜を孕んだ一撃が、キングの脳天めがけて、勢いを乗せる。 しかし、ヴィンデルシャフトがキングにぶつかると思った瞬間、空中に盾が出現。 再び驚愕の色をその瞳に写し、浅倉はヴィンデルシャフトと共に後方に弾き飛ばされた。 「変な勘違いはしないでよ。僕は仮面ライダーなんかじゃないよ」 そんな言葉を聞いても、浅倉は笑みを絶やさず、再びヴィンデルシャフト構えて、立ち上がった。 そして今度こそは一撃をキングに見舞ってやろうと、踏み込んだところで キングは突然とバッグからベルトを取り出し、浅倉の前に掲げた。 「何のつもりだ!?」 キングの不可解な行動に浅倉も思わず足を止め、質問をしてしまう。 「仮面ライダーのベルト。本来はこの天道のらしいんだけど、こいつはこんなんだろう? こんなんじゃベルトも役に立てなくて可哀想だから、これは君に上げるよ♪」 放り投げられたベルトを浅倉は思わず受け取ってしまう。 「……お前……何がしたい?」 「いやだなー。そんなにも睨まないでよ。さっきも言ったでしょ? そのベルトを役に立てるためさ。 仮面ライダーには、やっぱり仮面ライダーらしく振舞ってもらいたいからね♪」 「仮面ライダーらしくか……」 「そうそう♪」 キングの「仮面ライダーらしく」という言葉に浅倉は愉悦を顔一杯に広げた。 そしてその様子を見て、キングも楽しげに頷く。 目の前の仮面ライダーを知る浅倉という名の人間。 キングの記憶が確かなら、連続殺人犯。 そして戦うためだけに仮面ライダーとなった狂人。 そんな人間の手に自分の大切なベルトが渡ったと知ったら、天道の心はどうなるか。 自分のベルトによって多くの人間が命を失うと知ったら、天道の仮面ライダーとしての誇りはどうなるか。 (な~にが天の道を往き、総てを司るだ? お前のぜ~んぶを滅茶苦茶にしてやるよ) キングは背中で眠る天道を我が子のように愛しげに見つめた。 「そうそう、そんなに戦いたいなら、僕より強い奴が向こうにいるよ。 いきなり鎌を持って僕に襲い掛かってきてね~。魔法も使ってくるしで、逃げるだけで手一杯だったよ」 ベルトをつけた浅倉が自分に歩み寄ろうとするのを目の端に留めたキングは 彼が自分に向かってこないように、美味そうな餌を彼に放った。 とはいえ、それが幾ら極上な料理であろうと、 目の前にある餌を見逃すほど浅倉の飢えは生易しいものではない。 浅倉はベルトに手を宛がい、変身の準備へと取り掛かった。 「それにさ、僕は天道を手当てしなきゃなんだよ。浅倉もさ、この天道とちゃんと戦ってみたいでしょ? こいつ、このままだと、死んじゃうよ?」 そのキングの言葉に浅倉の動きは止まる。 天道は浅倉にとっても是非とも戦ってみたい相手だ。 絶えず鬱屈するイライラを拭ってくれるような予感を 浅倉は天道と会った時に僅かにしろ抱いたのだから。 「どこだ!? そいつはどこにいる!?」 そして野獣はキングの放り投げた餌に齧り付くことになった。 「そんな慌てないでよ。向こうだよ、向こう。まだそんなに時間も経ってないし、まだあそこにいるんじゃないかな。 戦いたいんだったら、急いだほうがいいよ。あ~、あとゲームにも乗っているみたいだから、気をつけてね♪」 キングの言葉を聞き届けると、浅倉は慣れぬ武器、ヴィンデルシャフトをゴミのように放り投げ、 それからジェットエッジと自分が立つ悪路とも言うべき地面を交互に見比べ、 やがて忌々しそうにそのローラーブレードも捨てた。 今、彼の手にはライダーベルトがある。 その喜びで顔を狂気に彩らせた浅倉は、キングの指差した方向へと歩みを進めていった そしてそんな勝手な浅倉と気絶している天道を、おろおろと交互に見比べる少女が一人。 「あの、その人を助けてくれるんですか?」 やがて意を決したかのように少女、ヴィヴィオはキングに訊ねた。 「……その前に君の名前は何ていうの?」 「えっと、私の名前はヴィヴィオです」 ヴィヴィオと名乗る少女の名前と容姿を頭の中に刻み込み、キングは笑みと共に質問に答えた。 「ふ~ん、ヴィヴィオね。僕の名前はキング。え~と、それで何だっけ? あ~そうそう、うん、勿論、助けるつもりだよ」 「そうですか」 キングの答えにヴィヴィオは笑顔を広げる。 「えーと、それじゃあ、その人の事をよろしくお願いします」 ペコリと頭を下げ、後顧の憂いを無くしたヴィヴィオは浅倉の捨てた「ゴミ」を拾いながら 急いで彼の後を追いかけていった。 その影二つを優しく見送りながら、キングはバイクのエンジンを点け、 再び走り出そうとするが、不意にそれを制止する声が耳に入った。 「待ってください」 キングが目を向けてみると、オレンジ色の鮮やかな髪の色をした女性、シャーリーがいた。 「なに?」 「ゼロのことを、その人のことを、どうするつもりですか?」 「どうするって……そりゃあ、助けるさ。こんな様じゃ、可哀想だろう?」 「その人は、ゼロは、たくさんの人を殺したテロリストなんですよ! それでも助けるというんですか!?」 「そうなの?」 「そうです!」 天道はゼロでありテロリストであるという命題を解くのには、キングの情報が不足していた。 ゼロという単語は確かに目にした記憶はあったが、それが何だったかいまいち思い出せない。 それに天道の部分もまだ完璧に網羅しているわけではない。 もしかしたら、彼女の言うことは本当なのかもしれない。 しかし、仮面ライダーとゼロは別個の話だったような気がしないでもないし やはり、彼女の言うことは狂言、もしくは単なる思い込みなのだろう。 といっても、だからキングが何をするという話でもない。 彼女の言葉の調子からゼロという者に恨みを抱いているのが見受けられる。 それも相手が死んでも構わないくらいに。 彼女を壊すのは簡単だ。 天道を殺させた後に、彼はゼロではなかった証明してやればいい。 そうすれば、無関係な人を殺したという罪悪感に勝手に押しつぶされて、愉快な姿を曝け出してくれるだろう。 だけど、それだとキングが困る。 何故なら、天道はキングにとって、自分が壊すべき大切な玩具なのだから。 「ん~、まあ、このままだと死んじゃうかもしれないしね~。それだと、つまんないから助けるよ」 つまんないから。 そんな予想だにしてなかった理由にシャーリーは思わず口を噤んでしまう。 「で、もう行っていい? 早くしないと、こいつ死んじゃいそうだからさ」 「え? えーと、これからどこに行くつもりなんですか?」 「ん~、温泉。日本人といったら、やっぱり温泉でしょ?」 「そう……ですか。それはいい考えだと思います」 「でしょ? 最後に君の名前を聞いてもいいかな?」 「……シャーリーです。シャーリー・フェネット」 「シャーリーね。覚えたよ」 最後に子供のような無邪気な笑顔を残し、キングはバイクで走り去っていった。 そしてそれを見送るシャーリーはキングの「つまんないから」という言葉を思い出し、一人頷いた。 確かにキングの言うとおり、ゼロがこのまま簡単に死んでいってはつまらない。 彼はおおよそ悪とはかけ離れた民間人を多数殺したテロリストだ。 その大罪を購う為にも、ゼロは精一杯苦しまなきゃならない。 自分の手で殺していった人間の命の重さを知るためにも、これでもかというほどに。 それを今、ここで簡単に殺してしまっては、死んでいった彼らの痛みなど伝わらない。 それでは父の、ゼロによって死んでいった人々の無念が晴らされることはないだろう。 だから、彼女は天道を殺さなかった。 (ゼロ、私はあなたを決して許さない。だから精一杯苦しんで) ゼロの容態、そして彼の向かった温泉には治療に使えそうなものなど 何一つ残っていなかったのを思い出し、 彼女はほんの少しの罪悪感を覚えながらも、ほんの少し笑った。 【1日目 朝】 【現在地 C-7】 【天道総司@魔法少女リリカルなのは マスカレード】 【状態】右脇腹負傷(身体を動かすことはできるレベル)、気絶中 【装備】爆砕牙@魔法妖怪リリカル殺生丸 【道具】支給品一式、ゼロの仮面@コードギアス 反目のスバル 【思考】 基本:出来る限り全ての命を救い、帰還する。 0.気絶中 1.天の道を往く者として、ゲームに反発する参加者達の未来を切り拓く。 2.カブトゼクターとハイパーゼクターを取り戻してみせる。 3.俺が望みさえすれば、運命は絶えず俺に味方する。 4.感謝するぞ、加賀美。 【備考】 ※参戦時期はACT.10冒頭。クロックアップでフェイト達の前から立ち去った直後。 ※なのは、フェイト、はやて、クロノは一応信用、矢車は保留、浅倉は警戒しています。 ※身体がいつものように動かない事を知りました。 【キング@魔法少女リリカルなのはマスカレード】 【状態】変身による疲労(中)、一時間変身不可(コーカサスビートルアンデッド)、非常に上機嫌 【装備】カブトエクステンダー@魔法少女リリカルなのは マスカレード、ソリッドシールド@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】キングの携帯電話@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【思考】 基本 この戦いを全て滅茶苦茶にする 1.温泉に向かう 2.天道で遊ぶ 3.『CROSS-NANOHA』でヴィヴィオ、ゼロ、シャーリーを調べる 4.浅倉とキャロに期待 5.はやてとの合流は後ででも良いかな 6.はやてとヴィータの決着が着いたら、残ったほうに真実を伝えて、その反応を楽しむ 7.とにかく面白いことを探す【備考】 ※制限が掛けられている事に気がつきました ※ゴジラにも少し興味を持っています ※携帯電話は没収漏れです。写メ・ムービー以外の全ての機能は停止しています。 ※携帯には相川始がカリスに変身する瞬間の動画等が保存されています。 ※キングの携帯に外部から連絡出来るのは主催側のみです。 ※カブトの資格は持っていません ※キングの携帯のお気に入りフォルダに『CROSS-NANOHA』へのリンクが存在します。 【シャーリー・フェネット@コードギアス 反目のスバル】 【状態】健康、悲しみ 【装備】浴衣、クラールヴィント@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ゼロの銃(10/10)@コードギアス 反目のスバル 【道具】支給品一式、デュエルアカデミア売店の鍵@リリカル遊戯王GX、ランダム支給品0~2(元シャーリー 0~1(一見して治療に使えそうなものはありません)、元ヴィヴィオ0~1) 【思考】 基本:ルルーシュ達と一緒に帰りたい。 1.ヴィヴィオの為にフェイトを探す 2.もう1人いるなのはを探し、ヴィヴィオのママかどうかを確かめる 3.浅倉と行動を共にしヴィヴィオを守る 4.ルルやスバルや六課の人を捜す 5.この人(浅倉)って……実は良い人? 6.デュエルアカデミアって……決闘の学校? 【備考】 ※天道のことをゼロだと思っています ※ゼロを追いかける為に、一時的に二人の仲間になることにしました ※六課がブリタニア軍の特殊部隊で、スバルはその一員だと考えています ※ザフィーラを大型犬だと思っています ※プレシアはブリタニアの偉い人で、この殺し合いを開いたのは六課や日本人及びその関係者を抹殺する為だと考えています ※ヴィヴィオの境遇を自分と重ねています ※2つあるなのは、フェイト、はやての名前から同姓同名の別人がいると思っており、放送で呼ばれたなのはが別人の可能性があると考えています ※デュエルアカデミアを物騒な所だと思っています ※ゼロは苦しんで死ぬべきだと思っています 【浅倉威@仮面ライダーリリカル龍騎】 【状態】右手に火傷 【装備】ライダーベルト(カブト)@魔法少女リリカルなのは マスカレード 【道具】支給品一式 【思考】 基本 戦いを楽しむ。戦える奴は全員獲物 1.鎌を持った奴(キャロ)と戦う 2.1の後は市街地にある施設に向かってみる 3.回復した天道、キングと戦う 4.更なる戦いの為、ヴィヴィオとシャーリーを利用する 5.この二人がウザい。鬱陶しい。 【備考】 ※自分から二人に危害を加えるつもりはありません ※二人の事は使えないと判断した時点でいつでも切り捨てるつもりです ※プレシアは殺し合いを監視しており、参加者の動向を暗に放送で伝えていると考えています ※ヴィンデルシャフトのカートリッジシステムには気付いていません ※カブトに変身できる資格があるかどうかは分かりません 【ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】健康、深い悲しみ 【装備】ヴィヴィオのぬいぐるみ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【道具】支給品一式、ヴィンデルシャフト@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ジェットエッジ@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【思考】 基本 フェイトママや、六課の皆と一緒に脱出する 1.なのはママ…… 2.フェイトママを探す 3.浅倉とシャーリーに着いて行く 【備考】 ※浅倉の事は、襲い掛かって来た矢車から自分を救ってくれたヒーローだと思っています ※浅倉を信頼しており、矢車とエネルを危険視しています ※キングのことを天道を助けてくれるいい人だと思っています ※この場にもう1人なのはがいる事に気付いていません Back ボクらが叶える未来 仲間を信じていたい 時系列順で読む Next バイバイ Back ボクらが叶える未来 仲間を信じていたい 投下順で読む Next バイバイ Back Deathscythe キング Next 暇をもてあました神々の遊び Back Deathscythe 天道総司 Next 暇をもてあました神々の遊び Back 混濁の純血 この身は汚れても 浅倉威 Next 三人の印象 Back 混濁の純血 この身は汚れても ヴィヴィオ Next 三人の印象 Back 混濁の純血 この身は汚れても シャーリー・フェネット Next 三人の印象
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魔法少女リリカルなのはStrikerS――legend of EDF――"mission11『光と嵐と異邦人(中編)』" ――新暦七十五年 五月十三日 十三時十四分 機動六課司令室―― はやてが到着したとき、司令室は混乱の渦中にあった。 室内にはスタッフの怒声や罵声が響き渡り、六課の活躍を映し出すはずのモニターは、一つ残らず砂嵐となり耳障りな雑音を奏でている。 雑音の中に、時折声のようなものが紛れ込むが、通信状態が酷すぎるせいで内容はさっぱりわからない。 「こ……ライ……し……りみ……を……る……」 「こちら本部、もう一度繰り返してください」 「ほ……い……り……じょ……を……」 「ライトニング1……ですか? よく、聞こえません、もう一度」 「ほん……えて……ふ……ゃ……い……」 「ああもう妨害酷すぎ! もう一度お願いします!」 雑音混じりの通信に、機動六課通信主任兼メカニック、シャリオ・フィニーノ一等陸士が苛立たしい声を上げている。 アルト・クラエッタ二等陸士も舌打ち混じりに操作盤へ指を走らせ、ルキノ・リリエ二等陸士は半ば涙目になりつつも、諦めることなく現地へ通信を送っていた。 誰もがはやてが来たことに気付いてない。それほどまでに状況が緊迫してるということだろう。 「ずいぶん遅かったですね、八神部隊長」 その中でただ一人、はやてに気付いた者がいた。 真面目という言葉をそのまま具現化したような、理知的な風貌を持つメガネをかけた青年。 機動六課部隊長補佐、グリフィス・ロウラン准陸尉だ。 「遅なってゴメンな。それでグリフィス君、現在の状況は?」 「最悪です。敵からと思しき電子妨害により通信機能はほぼ壊滅、スターズ、ライトニング両隊とも、現地観測隊とも連絡が取れない状況にあります」 「こっちのECCMはどうなってん?」 「全く効果がありません。恐らく、敵のECMには管理局の知るどの世界のものとも違う未知の技術が使用されていると思われます」 「そんな……だったら、ほんまはしたくないけど他の部隊に応援要請を。念の為に本局とアンノウン対策本部にも通信送って」 「とっくにやってますよ。しかし地上部隊は機動力の問題で、一番近い部隊でも到着に最低三十分はかかるそうです。 本局も地上の事は地上で解決しろと。対策本部は所属艦隊が謎の大型球体と接触したらしく、そちらの対応に追われて応援は送れないとのことです」 「なんやそれ……」 あまりの状況に、はやては頭を抱えて自身のデスクに突っ伏した。 はやては最初から全てがうまくいくとは思っていなかった。新人達はこれが初陣だから、少しは苦戦するだろうとは予想していた。 しかし、これはどういうことだ。 敵のECMに全く対応できずにロングアーチは実質的に機能を停止、通信機能は壊滅状態。 なのは達も敵の猛攻を受けている可能性が高く、おまけに周囲の部隊は誰も救援を送ってくれそうにない。 まだ彼女等は初陣だぞ。なのに、初っ端から敗戦を喫してしまうのか? こんなところで、自分は大事な部下を死なせてしまうのか……。 「部隊長、副隊長達に、『ヴォルケンリッター』に大至急連絡を取りましょう」 はやての様子を見かねたように、グリフィスが意見を具申した。 「念のために交替部隊にも召集をかけておきます。それと、後見人の方々にも連絡を。状況によっては、リミッター解除を申請します。よろしいですね?」 はやては静かに頷いた。 管理局の部隊には戦力の均一化を図るために戦力上限が設けられている。 それを守りつつ、六課の戦力を充実させるために隊長陣には『リミッター』と呼ばれる能力制限が施されていた。 『リミッター』を解除することが出来るのは後見人の三人のみ、しかも回数制限もある。 出来るだけ使いたくない手段だが、このまま行くと、機動六課は本来の力を出せずに一方的に蹂躙され、殲滅されることになる。 仲間が助かる可能性が少しでもあるならば、はやてはどんな事でもするつもりだった。 「そやな、そうしよう。あと念のために指揮交代の準備もよろしく。状況次第ではわたしも出る」 ―― 列車の中は異様な静けさに包まれていた。 照明のほとんどが砕け散り、唯一の明かりは薄暗い非常灯のみだ。 車内の壁には少なくない数の銃痕、斬痕、レーザー痕、その全てが、ここで激しい戦いがあったことを如実に語っていた。 おそらく、車内に侵入したガジェットがここにいた陸士達に襲いかかったのだろう。 そして、応戦はしたが歯が立たなかった陸士達は、これはいかんと列車を放棄して一人残らず逃げ出したのだろう。 その証拠に、列車に陸士の姿は見当たらず、車内には今直多くのガジェットが存在した。 しかし、ガジェットの様子がどうもおかしい。 二人が目の前を通りすぎても、機体を叩いてみても何の反応もせず、全く動かない。 まるで彫刻か置き物にでもなったかのように、ぽつんと突っ立っているだけだ。 何かの罠かもしれないと警戒はしているが、今のところは何かが起こる気配は無い。 陸士達が撤退前に何かをしていったのだろうか? それとも、自分達には知らされていない、列車の貨物の影響だろうか? それとも、何らか妨害電波か魔法が発生しているんだろうか……まあ、なんにせよ動かないならそれにこしたことは無い。 「空の連中もこいつらみたいだったら楽でよかったのに、ねえスバル、あんたもそう思わない?」 二人のうち、先頭を行くティアナは微かに笑って後ろにいる相棒スバルにそう言った。 しかしスバルは俯いたまま「そだね……」と生返事をしただけだった。 普段の明るく活発な彼女からは考えられないことだ。まあ、その理由は簡単に想像できるが……。 「ねえティア、大丈夫なのかな」 「大丈夫って、何が?」 「わかってるくせに……ヴァイス陸曹のこと」 やっぱりそのことか。ティアナは顔をしかめて足を止めた。 「あの時脱出してなかったよね、だったらヘリと一緒に落ちて怪我して動けなくなって、ひょっとしたら、陸曹はもう……」 スバルはそれ以上何も口に出す事は無かった。 ティアナも何を言わず、ただ黙ってスバルの顔を見詰める。 やがて、ティアナはもうその話しはしたくない、とでも言うように顔を背け、一言も喋らずに前に進み始めた。 スバルとティアナは六課配属前は災害担当部でコンビを組んでいた。 だからこそ、二人はヘリ墜落時の搭乗員死亡率がどれだけ高いかをよく知っている。 もう、ヴァイスの命は尽きているのかもしれない。 生きていたとしても、致命的な傷を負って死にかけているのかもしれない。 前者なら諦めるしかないが、後者だったら今すぐ救助し治療をすれば助かる可能性は大いにある。 ヴァイスも機動六課の大切な仲間なのだ。出来れば今すぐ助けに戻りたい。スバルはそう思っているのだろう。 それはティアナとて同じだ。しかし、それは出来ない。 航空優勢が確保出来ていない状況で外に出ることなど出来るはずも無く、それ以前に列車はすでにヘリが墜落した地点を通りすぎている。 なにより、任務を放棄し助けに行ったら、何の為にヴァイスは犠牲になったのだ。 ここで戻ってしまえば、墜落するとわかっていても、己を捨てて六課を守った彼の思いを裏切ることになってしまう。 二人がヴァイスの為に出来ることは、ヘリの事は気にせず任務に全力を尽くすこと。 そう思っているからこそ、ティアナは任務に集中するため極力ヴァイスのことは考えないように努めているのだ。 スバルもそれをわかっているから、心配はしても助けに行くとは言い出さないのだろう。 ティアナは二丁拳銃型デバイス『クロスミラージュ』を構えて次の扉を開けた。 この車両も、ガジェットが突っ立っている以外はなんの異常は無い。 それでも二人はいたる所に目を配り、ガジェットの影に隠れながら忍び足で前進する。 車両の中ほどまで進んだものの、攻撃の兆候はどこにも見当たらない。 と、思ったそのとき、車両の端で何かが動いた。 薄暗くてよく見えなかったが、それが人の形をしていることだけはわかっていた。 降下チームは貨物室をはさみ込む形で降下した。 スターズは後方に、ライトニングは前方に、だからここでかち合うことはありえない。大きさからしてリインでもない。 スバルはちゃんと自分の隣にいる。だとしたら! それを確信した途端、ティアナはスバルを思いきり突き飛ばして横ざまに飛びのいた。 人影の手の部分がきらりと光る。 直後、激しい銃撃音と共に曳光弾がばら撒かれ、ガジェットが紙細工のように次々と引き裂かれていく。 ティアナの上にガジェットの残骸がぱらぱらと降り注ぐ。 やはり敵だった。床に伏せたまま、ティアナはクロスミラージュの銃口を上げる。 だが、その先にはもう誰もいない。銃撃も止んでいる。 体勢を立て直すなら今のうち。スバルに声をかけようとしたその時、殺気を感知し銃口をそちらに向けようとした。 反応が一瞬遅かった。敵を捕捉する直前、側頭部に大岩をぶつけられたような衝撃を感じた。 ティアナの体が宙を舞う。目の前が真っ白になる。スバルが何かを叫んでいるが、もうなにも聞こえない。 やがて、体の感覚全てが無くなり、ティアナの意識は霞みのように消え去った。 ―― 「ティアアアアアアアアアアアッ!」 突然ティアナに突き飛ばされたスバル。 彼女が起き上がり際に見たものは、敵に頭を蹴り飛ばされて壁に叩きつけられたティアナの姿だった。 スバルはうつ伏せに倒れ込んだティアナに駆け寄った。 頭から血を流して動かない彼女の様子に絶望感が走りかけたが、喉元に手を当ててみると、しっかりと脈を感じ取ることができた。 呼吸も安定している。折れている骨もなさそうだ。脳震盪を起こして気絶してるだけのようだった。 意識の無いティアナを静かに横たえ、スバルは相棒を傷付けられた怒りを込めて背後の敵に向かい合った。 「へぇ、まだそんな目ができんのな。仲間やられたからビビってると思ってんだけど」 スバルをあざ笑った敵は兵士の姿をしていた。 兵士の体を包んでいるのは真紅のボディアーマー。 顔は黒色のヘルメットと、同色のバイザーのせいでわからない。 中でも特徴的なのは兵士の武装だった。 右手に装着した金属製の大型手甲と両足のローラーブレード型の装備は、スバルのデバイス『リボルバーナックル』と『マッハキャリバー』に酷似している。 これはただの偶然なのだろうか、それとも…… 「あなたが……あなたがこの事件の犯人なの?」 敵は手甲のマガジンを取り替えてから、にやりと唇を歪めた。 「それがどうかしたのかよ」 「空であたし達を襲ったのも……ヴァイス陸曹を堕としたのも……」 敵は一瞬何かを考えるように腕を組んで俯き、 「だったら、お前はアタシをどうすんだ?」と肩を竦めて見せた。 やっぱりこいつだったのか。ヴァイス陸曹を、皆を傷付けた犯人は。 スバルの怒りがいっそう激しく燃えさかる。 彼女は自分のことでは滅多に怒らない。だが、仲間の事なら話は別だ。 ティアナを傷付けた敵。ヴァイス陸曹を殺したかもしれない忌むべき敵。 絶対に許すことは出来ない。この敵はあたしが倒す。あたしが皆の仇を取るんだ! 「そんなの決まってるよ」 自身の怒りを総動員して、兵士を睨みつけながら彼女は『シューティングアーツ』の基本姿勢をとる。 「貴女を、倒す」 「アタシを……倒す? ふぅん」 敵は拳をぎゅっと握り締め、スバルと同じように両腕を正面に構えた。 「面白れぇ、やれるもんならやってみろぉ!」 何かに弾かれたように兵士は全力で突っ込んできた。 常人では対応出来ぬほどの弾丸の如き突撃。スバルは避けずに真正面から受けてたつ。 凄まじい力のぶつかり合いに震える車内。 二人は同じように弾き飛ばされ、同じように壁に叩きつけられた。 スバルと敵は、同時に跳躍して再び拳と蹴りを繰り出した。 二人の戦い方は全く同じだった。 『マッハキャリバー』で壁を駆ければ敵もローラーブレードで追撃をかけてくる。 光の道を作る魔法『ウイングロード』を使えば、敵も同じように光の道を作って襲ってくる。 体術だって『シューティングアーツ』そのものだ。 装備も同じ、戦い方も同じ、違うのは姿形のみ。 まるで二人は実の姉妹のようだ。 しかし、スバルには姉のギンガ・ナカジマ以外に姉妹はいないはず。だったら、こいつは一体何だ。 頭に浮かんだ疑問をスバルは無理矢理振り払った。 今は余計なことは考えるな。こいつが誰であれ、今は自分の敵でしかない。 敵が一体何者なのか。そんなことはこいつを逮捕してからゆっくりと聞き出せばいいことだ。 「チッ……」 敵は微かに舌打ちすると、後ろに飛んで距離を取る。 「させないッ!」 スバルは吠えるように叫んで猛然と攻め立てた。 二人に明確な差があるとすれば、それは手甲に付いている重火器の存在だろう。 あれは間違いなく質量兵器、しかもガジェットを軽々と引き裂くほどの威力を持っている。 いくらスバルが『常人よりも頑丈』だと言っても直撃すれば只ではすまない。 勝敗の鍵は接近戦にあり、重要なのは相手に撃たせないことだ。 「リボルバアアアアアアアアアアッッ――」 ナックルスピナーが高速回転。リボルバーナックルに魔力を纏い、 「シュゥゥゥゥゥゥゥゥトッ!」 気迫と共に衝撃波を撃ち出した。 敵はそれをまともに食らい、吹き飛んだ。衝撃波は勢い余り、敵の真後ろにあった扉をも粉々に砕いた。 機を逃さず、スバルはナックルに魔力を圧縮、敵に飛びかかった。 打撃魔法、ナックルダスター。 非殺傷と言えどもこれを食らって平気な者はまずいない。 「これで、終わりだ!」 振り下ろされた拳の先、敵は真横に転がり打撃を避ける。 そのまま起き上がり際に繰り出した蹴りが、スバルの横顔をとらえた。 今度はスバルが吹き飛ぶ番だった。敵の追撃はない。敵は踵を返して、距離を取っていた。 車両の連結部分で立ち止まり、敵はスバル再び睨み合う。 敵は右手で腹をおさえ、ぜーぜーと肩で息をして。 起き上がりかけのスバルは跪くような姿勢で。 「お前、中々強いな。アタシと似てんのはカッコだけじゃないってか?」 「当たり前でしょ、なのはさんの訓練毎日受けてるんだから」 「なのは、あの高町なのは、か。そりゃ、どうりで強いわけだ」 敵は静かに笑い出す。痛みのせいか、ほとんど声にはなっていない。 「けどな――」 そして敵が顔をあげ、苛立ちに満ちた金色の双眸でスバルを睨む。 「こっちだって毎朝毎晩、あいつに鍛えられてるわけじゃねえんだよぉ!」 それが再開のゴングであった。 拳が唸り、魔法と曳光弾が二人の間を交差する。 矢継ぎ早に繰り出される攻撃はスバルを砕けた扉の向こうに吹き飛ばし、今度は敵も容赦なく追撃をしかけてくる。 激しい戦いの余波は列車の連結部分をも破壊した。 ティアナの乗った車両が徐々に本体から離れていく。 しかしスバルは気付かない。気付いたところでどうにか出来るものでもない。 実力の拮抗した終わりの見えない肉弾戦。 だが、戦いの終わりは、予期せぬ形で、唐突にやってきた。 戻る 目次へ 次へ
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フェイトの見舞いの帰り、蓮の戦う理由を知って迷いが出ていたなのは。その帰り道で彼女は自問自答していた。 戦いを止めるのが本当に正しいのか。自分たちに戦いをやめさせる資格があるのか。 だが、その迷いに答えを出す間も与えず、神崎士郎の刺客『ガルドミラージュ』がなのはを襲う。それに対し、応戦するなのは。 何とかガルドミラージュを破ることに成功し、家に帰ろうとした矢先だった… 「…えっ?」 無数の羽――さしずめ羽手裏剣といったところか――が飛来し、なのはを木に固定した。 近づいてくる羽手裏剣を放った張本人が、なのはを殺すべく近づいてくる。 それは先ほど倒したガルドミラージュ同様、神崎士郎の手駒であるモンスター『ガルドストーム』だった。 「まだいたの…?」 なのはは、今回現れたモンスターは先ほど倒したガルドミラージュだけだろう、そう思い込んでいた。 だが実際は違う。目の前にガルドストームがいるのがその何よりの証明だろう。その油断のせいで羽手裏剣を食らい、動きを封じられる羽目になったのだ。 そのガルドストームが斧を構え、なのはへと走る。 羽が抜けず、固定されたままのなのは。覚悟を決めたのか、目を閉じた。 …だが、斧がなのはの身を裂く事は無かった。 おそるおそる目を開けると、斧を持った虎のようなライダーが…タイガが目の前にいた。 「仮面…ライダー…?」 (さて、どうしようかな…) タイガは現在、どう戦うか思案していた。 いつもならフリーズベントやアドベントなどで物陰から不意をついて先制し、そのまま畳み掛ける戦法を使うのだが、すでに姿を現してしまった以上、それは使えない。 かといって、動きを封じられているなのはを囮に使うのは時間がかかりすぎるし、何より彼の『英雄になる』という信念が許さない。英雄は弱者を囮になどしないものだ。 ならば取れる手段はたった一つ。戦斧型バイザー『デストバイザー』やデストクローを使い、真っ向から戦うことのみだ。 思考時間3秒。決まってからの行動は早い。カードデッキから一枚のカードを取り出し、バイザーに装填した。 『STRIKEVENT』 第二十二話『蘇る雷』 「あの人、強い…!」 羽を抜く作業を続けるなのはは、タイガの実力を見て驚いている。 不意打ちという戦法の影に隠れがちだが、彼自身もライダーの中では強い部類に入る。 カードを装填し、デストクローを呼び出したタイガは、ガルドストームの斧を左のデストクローで受け止め、その隙に右のデストクローで腹を衝く。 ガルドストームも負けじと羽手裏剣を放ち、タイガにダメージを与えようとするが、それは無駄というもの。 羽手裏剣は元々束縛用で威力が低い上、デストクローは盾としても使える大型手甲だ。その程度の攻撃は左のデストクローでたやすく受け止めることができる。 が、これではタイガも攻撃することができない。距離があるので武器が届かないのだ。 ならばどうすればいい?簡単な事だ。手に持っていて届かないなら、手から離して届かせればいい。 それに思い至ったタイガは、右のデストクローを手放し、ガルドストームへと投げつけた。直撃を食らい、よろめくガルドストーム。 その隙を逃さじと一気に距離を詰め、デストバイザーで切り刻む。もはやガルドストームはグロッキーだ。 「じゃあ、さよなら」 そう言うタイガの声が、聞こえた気がした。 その声とともに、一枚のカードを取り出し、装填する。これだけボロボロの相手に使うカードなど、当事者のタイガや実際に見ていたなのは以外でもとどめ用しか思いつかない。 そして、予想通りの電子音が響いた。 『FINALVENT』 音とともに、契約モンスター『デストワイルダー』が現れ、爪の間にガルドストームの首を挟んで押し倒す。 それと同時に、先ほど投げたものと同じデストクローを構え、最大の大技『クリスタルブレイク』を放とうとするタイガ。そちらへと駆け抜けるデストワイルダー。 そしてタイガとデストワイルダーがすれ違う。その直後、デストワイルダーの爪の間からガルドストームが消えた。どこに行った? …その答えはすぐに出た。タイガを…いや、タイガが掲げあげた左腕を見ると、デストクローがガルドストームに突き立てられていた。 そのままガルドストームは貫かれ、爆散。なのはが羽手裏剣の束縛から逃れたのも、ちょうどその時だった。 「あの…ありがとうございます。おかげで助かりました」 なのはが近づき、礼を言う。それに対し、タイガが返す。 「…女の子が襲われてたから…だから、助けなきゃって」 典型的な「いい人」の回答である…が、次の瞬間、タイガを発生源とした殺気が膨れ上がる。 その殺気を感じ取ったのか、それとも脳が警鐘でも鳴らしたのかは分からないが、なのはが身構えた。 「でも…よく考えたら、普通の人はミラーワールドから出られないよね」 そう言った瞬間、タイガがデストクローを振りかざし、なのはへと襲い掛かる。 なのははそれを何とかかわすが、すぐに第二撃、第三撃と攻撃が飛んでくる。 「ゆっくり体が消えていくのは怖いでしょ?だったらその前に、僕が楽にしてあげるよ」 「ん…?」 海鳴大学病院。金髪の少女が目を覚ます。眠ってしまってから一ヶ月近く経っていて、その間の事は何も分からない。 「ここは…病院?何で私、こんな所に…」 そう言いながら頭を抱え、記憶をたどる。すると、眠ってしまうことになった日の記憶が出るわ出るわ。 友人の誤認逮捕、いないはずの母の使い魔の存在。そして、母との戦いの結末。彼女の記憶はそこで途切れていた。 とりあえず起き上がろうとするも、足が動かない。あれだけの重傷の上、一ヶ月もの間眠っていたのでは仕方がないかと思うが。 だが、状況は彼女がその事実を認識する暇も与えない。例の金属音である。 もし近くになのは達やライダーがいるならば問題はない。だが、もしいなかったら?そう考えた少女は、自らの相棒を探す。看護婦が気を利かせたのか、ちゃんと首にかかっていた。 「バルディッシュ…行こう」 そう言って彼女はバリアジャケットを纏い、相棒…バルディッシュを変形させる。 ちなみに、彼女を見ることができる範囲には人がいなかったため、十分変身は可能だ。 バリアジャケットを纏い、窓ガラスからミラーワールドへと踏み込む少女。足は動かないが、飛行魔法を使うことには支障はないようだ。 「待ってて…今行くから」 そう言うと、少女…いや、フェイト・T・ハラオウンは、モンスターの気配を辿って飛び去った。まるで雷のように。 時は、ちょうどタイガがなのはに襲い掛かった時である。 「ちょっ、待ってよ!私には戦う気なんか…」 「でも消えるのは怖いでしょ?」 なのはの訴えをタイガは無視し、デストバイザーを振り回す。 先ほどからの攻撃を、なのはは何とか防御魔法で防ぎ、受け流し、フラッシュムーブで避けるという状態が続いている。防戦一方だ。 さらには戦闘から羽手裏剣による束縛、さらに再びの戦闘のため、体力も時間もあまり残されていない。ジリ貧という奴である。 『マスター、むこうは戦いをやめるつもりは無いようです』 「だったら、動けなくしてでもやめさせないと…」 そう言うが早いか、フラッシュムーブで距離を取り、ディバインバスターの発射体制をとる。 「空を飛んでる…そっか、神崎士郎が言ってたのって君だったのか」 何を今更。防御魔法やフラッシュムーブを使っているのを見ていただろうに。 それはともかくとして、それが分かった今でもタイガはなのはを殺そうとしている。いくら魔導師でも、ミラーワールドへの出入りは不可能だろうと考えたのだ。 かといってここからでは距離がある。容易には仕留められないだろう。おまけにディバインバスターのチャージ真っ最中である。 食らってはただではすまないというのは、集まってきている魔力光からも判断できたようだ。 ならばどうするか…思案しているときに、タイガの足に何かが当たる。先ほど重いからと放り捨てたデストクローだ。 急いで拾い、先ほどのガルドストームの時と同じように渾身の力で投げつけた。 あまりに急な行動。さらには飛来するデストクローの速度も速く、ディバインバスターをチャージしている最中というのもあって反応は不可能。直撃コースだ。 なのはは今度こそ終わりかと思い、目をつぶった…が、何も来ない。恐る恐る目を開く。 …どうやら神様とやらは、ピンチに誰かが駆けつけるというシチュエーションがお好みのようだ。 「なのは…久しぶり。大丈夫だった?」 何が起こったのか、一瞬分からなかった。少しずつ落ち着き、状況を分析。 地上にはタイガ。同じく何が起こったか理解できないらしく、呆気にとられている。 なのはに突き刺さるはずのデストクローは、地上へと落下。突き刺さっている金色の魔力刃は、今霧散した。 そして、目の前にいるそれをやったと思われる黒衣の人物は、眠り続けているはずの親友―――― 「フェ…フェイトちゃん!」 その名前を呼んだとき、なのはの目に涙があふれる。 フェイトが目覚める日をどれほど心待ちにしていたか、それを考えれば無理もないだろう。 「ごめん、心配かけたみたいだね」 「ううん、いいの。フェイトちゃんが目を覚ましてくれれば、それで…」 すっかり二人の世界が出来上がっている。無論タイガは蚊帳の外だ。 それに業を煮やしたのか、フェイトに向かって問いかける。 「…ねえ、君。その子の仲間?」 「…友達だ」 言い終わるころ、なのははちょっとしたデジャヴを感じたのだが…それはどうでもいいので流すとしよう。 とりあえず、フェイトはそのまま状況を分析。なのはは自分から他者を傷つけることはほとんどないはず。 結論、なのはがタイガに襲われていた。取るべき行動、この場を引き受け、なのはを逃がすこと。 倒すにせよ追い返すにせよ、なのはの粒子化はすでに始まっている。なるべく早くミラーワールドから出さねばならない。 その結論に至り、なのはに言う。 「なのは、あのライダーは私が何とかする。だからその間に逃げて」 突然の撤退勧告。当然反論する。 「フェイトちゃんを置いて逃げろっていうの?そんなのできないよ!」 「…大丈夫、私は負けない。それに、なのはは粒子化が始まってるんだから急いで出ないと…」 その言葉に臨戦態勢だったタイガが止まる。 ライダーでもない限り、ミラーワールドからは出られないはずだ。それなのに出ると言っている。 ならば出る手段があるのか?そう思い、聞いてみることにした。 「ひょっとして…ミラーワールドから出られるの?」 急なタイガの質問に、なのは・フェイト両名が止まる。まさか知らなかったというのか? …いや、聞き間違いかもしれない。だから聞き返してみることにした。 「…え?」 「いや…もしかして君達、ミラーワールドから出られるの?」 「…うん。一応出入りはできるけど…」 それを聞き、タイガはバイザーを収め、そのまま近くにあった鏡へと向かっていった。 移動しながら、謝罪の言葉を残して。 「ごめん、てっきりミラーワールドから出られないんだと思ってたから」 そう言って、タイガはミラーワールドから出て行った。 …どうやらこの戦いは、ミラーワールドから出られるということをきちんと説明していれば避けられた戦いだったようだ。 それに気付いて一気に気が抜けたらしく、気力が一気に削げた。 「…帰ろうか」「そうだね…」 そう言って、なのはが入るときに使った鏡でミラーワールドを出た。帰り際にフェイトが見たものを思い返す。 (なのはの所に行くときに見かけたあの鏡…一体なんだったんだろう?) フェイトが見かけた鏡。それは人間の全身が映る程度の鏡で、周りには子供がクレヨンで書いたような絵が散乱していた。 …その鏡こそがミラーワールドの中枢にして、モンスターの発生源である鏡『コアミラー』だという事を、彼女はまだ知らない。 「戻りましたか。どうでしたか?」 香川が部屋に入ってきた東條へと問う。 「モンスターの気配は2体分でしたけど…僕が行った時には1体しかいませんでした。とりあえずその1体は倒しましたけど…」 「ほう…となると、後の1体はどこに行ったんでしょうか?」 「多分…神崎士郎が言っていた魔導師が一人そこにいましたから、あの子が倒したんだと思います」 そう言って東條は、あの戦いの場で見聞きしたものを香川へと話した。 その中でも香川が興味を示したのは、魔導師がミラーワールドに出入りできるということだ。入れるのはライダーかオルタナティブくらいのものだと思っていたので、その事は非常に興味深い。 「なるほど、ミラーワールドへと出入りできる魔導師ですか。調べてみる必要がありそうですね…」 そう言うと、オルタナティブのデッキを手に研究室を出た。 念のために言っておくが、ただ自宅に帰るだけである。話によると、この件に絡んでいる魔導師は子供が多いという。 ならばこんな真夜中に動くとは思えない。という訳で魔導師達への接触は翌日以降とした。 後日、時空管理局と香川研究室との間にとある関連が出来るのだが、それは後述としよう。 戻る 目次へ 次へ